論文ID: 2016-0030
リンクル(異方的な表面凹凸構造)の構造不均一性が摩擦に及ぼす影響を検討した.一軸延伸したシリコンゴム表面にポリイミドフィルムを圧着後,延伸を解除してリンクルを作製した.リンクルの平均の波長および高さはひずみの増大に伴ってそれぞれ減少および増大した.その形状は,リンクル一般に見られる正弦波状ではなく,正弦波形状の領域と高い凸部を有する箇所からなる不均一性を示した.ガラス半球圧子を用いた摩擦試験の結果,平均動摩擦力は荷重とともに増大し,また平坦表面上よりも低くなった.摩擦プロファイルと表面形状とを対応させて考えることで,不均一に生じた高い凸部において特徴的な摩擦力の大きな上下動が引き起こされることが明らかになった.平均的には周期的な凹凸領域における接触面積の減少によって低摩擦性を示すことが示唆された.