論文ID: 2016-0035
本報ではゲル微粒子分散系に種々の分子量の線状高分子を導入することで,そのレオロジー特性がどのように影響を受けるか,とくに線形と非線形レオロジーの関係性を評価した.動的粘弾性測定よりゲル微粒子と高分子間のからみ合いの発生,および高分子量線状高分子の場合には高分子の偏析による微粒子の脱膨潤が示唆された.大振幅振動測定から,ひずみの非線形性がみられる臨界ひずみは分子量の増加とともに増加し,高分子は線形領域の拡大に寄与していることが示された.また,定常流測定ではシェアシニングが観察されたが,その程度は高分子の導入に伴い抑制された.定常流挙動はBKZモデルを用いてある程度予測可能であり,シェアシニングは系の非線形性が抑制されたと考えることで記述できた.これらの結果は高分子の導入により,線形領域が拡大されたことを示しており,ソフト微粒子分散系と高分子混合系のレオロジー特性の理解の基盤となるものである.