論文ID: 2018-0004
粘土鉱物は土壌に含まれる無機高分子であり,板・円筒と高い異方性をもつ物質が多いため機能材料を与える新素材として期待される.本報では剛直円筒状無機高分子である粘土鉱物「イモゴライト」を用いた機能材料の創製に関する筆者の一連の研究成果について概説する.まず,イモゴライトと有機酸による細胞骨格構造に倣った刺激応答性網目構造体(ゲル)について紹介した後,有機酸種,外場,溶媒によるゲルの機能制御について解説する.筆者の研究を通じ,具体的にはチキソトロピー性,イオン伝導性,一軸配向構造,らせん秩序,高強度を付与したゲルが得られる.これらは外部のさまざまな環境変化や刺激に応答して性能を可変できる未来材料「SMACTIVE MATERIAL (=smart-active materialから想起された造語)」としての利用が期待される.