高分子論文集
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乳化剤不在下でのポリアクリル酸エチルエマルジョンの合成とその皮膜の耐水性
松本 恒隆大久保 政芳今井 正
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1975 年 32 巻 4 号 p. 229-234

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抄録

乳化剤不在下での過硫酸カリウム (KPS) を開始剤として得られたポリアクリル酸エチル (PEA) エマルジョンの安定化条件とその皮膜の耐水性との関係について検討し, 次の結果を得た. 1) 重合安定性および放置安定性の良好なエマルジョンは最適KPS濃度 (本実験では約120mg/l) において作製された. 2) 粒子表面上には, 粒子中のポリマー分子数に相当する-SO4-基が存在した. 3) 同一KPS濃度においては, 重合温度が高くなるほど粒子は安定であった. 4) 得られた無乳化剤エマルジョン皮膜は乳化剤含有のものに比べて著しく耐水性は良好であった. 5) KPS濃度が高くなるほど, 耐水性は低下した. 同一濃度では, 重合温度が高いものほど耐水性はよかった. 以上の諸結果から, KPSの開始反応効率を高め, 粒子表面荷電数を増加させるとともに, 水相のKPSに由来する電解質を減少させることにより, 耐水性皮膜を与える安定な無乳化剤PEAエマルジョンの作製できる可能性が明らかにされた.

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