1976 年 33 巻 12 号 p. 741-748
延伸と熱処理によるナイロン6およびポリエチレンテレフタレート (PET) 糸の内部構造の変化を広幅NMRによって調べた. ナイロン6未延伸糸を熱処理してもmobile部分の量は保存される. mobile部分の量の温度依存性から, 非晶領域のポテンシャル障壁の高さを見積ると, 150℃以下で12.1kcal/mol, 以上で2.9kcal/molであり, この値は糸を弛緩熱処理しても変わらない. PET延伸糸を弛緩熱処理すると, rigid部分はその量を減少し, そのrigidさは増すが, 定長熱処理ではその量, rigidさともわずかしか変化しない. 延伸, 熱処理によるPET糸の挙動は, ナロン糸に対してStattonが提案したモデルによって, うまく説明できる.