1977 年 34 巻 6 号 p. 429-439
分子量の異なる種々の高密度ポリエチレンに無機質充てん剤を大量に配合した組成物のカレンダー成形機による加工性と, 得られたシートの機械的性質のうち, とくに引裂強度の異方性とポリエチレンの微細構造との関係を検討した. (1) 高密度ポリエチレンは, 通常カレンダー成形機で成形されることはほとんどない. しかし無機質充てん剤を大量に配合することによって良好なカレンダーシートが得られる. (2) シートの加工性が良好で, かつ得られたシートがもろくなく, 強じんなものを得るためには使用するポリエチレンを選ぶ必要がある (3) 使用するポリエチレンの特性や成膜条件により引裂強度に異方性が現れる. (4) 縦方向の引裂強度が横方向のそれよりも大きいシート (縦>横) と引裂強度が横>縦のシートの微細構造を検討したところ, 縦>横になるシート中にはextended chain crystal成分がより多く形成されている.