1980 年 37 巻 3 号 p. 185-190
キトサン (CS) の存在下で, メタクリル酸 (MAA) のラジカル重合を水媒体中で行い, 生成したポリ (メタクリル酸) (PMAA) およびそのメチルエステルの立体規則性および旋光性を検討した. 重合の反応液はCS酢酸塩とMAAのナトリウム塩を混合して調製し, 重合は過硫酸カリウムを開始剤として30℃で行った. 生成PMAAの分離は, 析出したコンプレックス (CSとPMAAから成る) 中のCSを濃塩酸で加水分解し, メタ過ヨウ素酸ナトリウムで酸化して除去する方法で行った. このPMAAおよびメチルエステル誘導体は光学活性であり, 旋光度の符号はCSの逆であった. そしてアイソタクト成分は比較的多く存在し, このポリマーはBernoullian試行に従わなかった. PMAAおよびメチルエステル誘導体の旋光度は, ポリマー主鎖が保持するものと推定した.