高分子論文集
Online ISSN : 1881-5685
Print ISSN : 0386-2186
ISSN-L : 0386-2186
吸湿ポリ (γ-メチルD-グルタマート) の分子運動と吸着水の状態
奈倉 正宣酒井 吉弘石川 博
著者情報
ジャーナル フリー

1981 年 38 巻 9 号 p. 563-570

詳細
抄録

主鎖に-NH…O型の水素結合可能な基を有するポリ (γ-メチルD-グルタマート) の各種微細構造の試料を用い吸湿量の相異, 吸湿による物性変化, および水分子との相互作用の検討を行い, 次の結果を得た. 1) 吸湿量は結晶構造には無関係であり, 非晶部に適度の配向性をもたせることにより吸湿量が増し, その配向した分子主鎖は水分子との間に相互作用を生じる. 2) この相互作用により水分率0%では出現しなかった新しい緩和現象が-50℃付近に出現する. これは非晶部の主鎖のNH基やCO基に水分子が結合したことによる協同作業的分子運動と推測される. 3) 水中で延伸したものは, 水分子がPMDGの側鎖に大きな影響を及ぼし側鎖分散に-50℃付近の緩和現象が重なってしまう. 4) 相対湿度100%までのふんい気でPMDGに吸着した水分子のすべては, いずれの微細構造の試料でも, 自由水の状態にはなく不凍水の状態にあることが確認された. この状態の水分子は自由水よりも蒸発しにくいこともわかった.

著者関連情報
© 社団法人 高分子学会
次の記事
feedback
Top