1983 年 40 巻 10 号 p. 603-607
極性非プロトン溶媒のヘキサメチルホスホルアミドに溶解したナイロン6をアルカリ金属メトキシドによりメタル化し, これにメチルビニルケトン (MVK), アクリロニトリル (AN), メタクリロニトリル (MAN), アクリル酸メチル (MA), メタクリル酸メチル (MMA) などのビニルモノマーをグラフト重合させた. グラフト率は MAN>MA>MMA>AN>MVK の順に増加し, グラフト効率はα炭素にメチル基を有する MMA, MAN 大きな値を示した. またグラフト率はメトキシド添加度及びモノマー濃度が増加するほど増大し, アルカリ金属の電気陰性度が大きいほど低下した. 種々のメタクリル酸エステルのグラフト重合では, エステルのアルキル基の置換基定数が増大するほどグラフト率は増大した. グラフト共重合体の示差熱分析から, 枝ポリマーの種類によりナイロン6成分の結晶化のしやすさが異なることが分かった.