1983 年 40 巻 9 号 p. 531-538
スチレンモノマー存在下においてDPPHと開始剤ラジカルとの反応生成物をFD-MS法により解析した. 開始剤としてはAIBNとADVNを用い, DPPH, スチレンモノマー及び溶剤をガラスアンプル中に仕込み, 所定温度に1時間加熱して重合を行った. 従来二, 三の分子種しか確認されていなかったが, 上記重合物のFD-MSスペケトルを測定し, スペクトルを詳細に解析することにより, 系内に多数の分子種が存在することが明らかとなった。反応生成物の生成量, 開始剤の相違によるスペクトルの差異, 反応の生じやすさなどを考慮してFig. 3に示す各分子種の生成を推定した. 完全な反応機構の解析には更に研究を要するものの, 反応の主要部分の解明をなしえたと考えている.