高分子論文集
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キトサン膜の固相N-アセチル化
見矢 勝岩本 令吉太田 浩二美馬 精一
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1985 年 42 巻 3 号 p. 181-189

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抄録

キトサン膜の-NH2基を固相で選択的にアセチル化する方法を検討した. アセチル化反応は, 膜の変形と-OH基への副反応を防止するため, 含水率0.5~50vol%の水-メタノール混合溶液中で無水酢酸を用いて行った. アセチル化度は赤外の吸光度比A1554/A697による検量線を用いて定量した, 原料キトサン膜の残存アセチル基が多いほど, また反応時に用いる溶液中の含水率が増すほど, アセチル化反応は進みやすい. さらに, 酢酸塩膜にすることによって反応が促進される. アセチル化度の異なる反応膜の赤外吸収スペクトルの差及びATRスペクトルから, 未反応部分はキトサンの結晶化部分であることが明らかになった. 完全アセチル化は反応時における固相中の結晶部分を壊すことによって達成されることが分かった.

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