高分子論文集
Online ISSN : 1881-5685
Print ISSN : 0386-2186
ISSN-L : 0386-2186
ブタ脳カルモデュリンの界面活性剤によって誘起されたコンホメーション変化
近藤 慶之直井 正俊小山 勝宏藤井 敏弘大木 幸介
著者情報
ジャーナル フリー

1985 年 42 巻 7 号 p. 467-471

詳細
抄録

ブタ脳カルモデュリン (CaM) の種々の界面活性剤によって誘起されるコンホメーション変化について, 螢光スペクトル, 円偏光二色性 (CD) の測定により検討した. Tween系, TritonX100などの非イオン性界面活性剤は, CaMのコンホメーション変化に影響をおよぼさなかった. 陰イオン性界面活性剤のドデシル硫酸ナトリウム (SDS) やドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム (SDBS) を加えた場合, 大きな構造の変化が観察された. Ca2+存在下および非存在下において, 1mMSDSはα-helix含量の増加を引き起こし, Ca2+存在下ではα-helix含量は42%であった. SDBSの場合, その濃度が増すとα-helix含量は減少し, 12mMではCa2+の存在, 非存在にかかわらずCDはランダムコイルの曲線を示した. 陽イオン性の塩化ベンザルコニウムは弱い変性作用を伴ってCaMの規則構造の破壌を促進する. これらの事は, 螢光スペクトルの測定によっても裏づけられた.

著者関連情報
© 社団法人 高分子学会
前の記事 次の記事
feedback
Top