高分子論文集
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ポリ塩化ビニルの熱安定化に対する含硫黄化合物とステアリン酸亜鉛/ステアリン酸カルシウム複合系金属石けんとの相乗効果
飯田 健郎林 さつき後藤 邦夫
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1986 年 43 巻 6 号 p. 319-324

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抄録

ポリ塩化ビニルの安定化に対する, ステアリン酸亜鉛/ステアリン酸カルシウム複合石けんと種々の含硫黄化合物との相乗効果を, 色解析により, 検討した. t-ノニルメルカプタン, ジチオグリコール, β-メルカプトプロピオン酸及びチオ尿素は良好な相乗効果を示し, 複合系金属石けんの効果を顕著にしたが, オクチルメルカプタン, ジチオスルフィド, α-メルカプトプロピオン酸及びメルカプト酢酸2-エチルヘキシルは効果を示さなかった. 含硫黄化合物と複合系金属石けんから生じる塩化亜鉛との混合物の赤外分光分析及びX線光重子分光分析を行ったが, 効果を示した系においては, 含硫黄化合物と塩化亜鉛とが錯体を形成し, 効果の無い系においては, これが認められなかった. したがって, 含硫黄化合物と複合系金属石けんとの相乗効果はマスキング効果, すなわち, 過剰の金属塩化物と無色の錯体を形成する効果に基づくことが判明した.

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