温室栽培農業用に使われている軟質ポリ塩化ビニルフィルムは長時間太陽光に曝露され, 大気中で使われる. このため, 化学反応が進行し, フィルムは劣化し, 廃棄される. 廃棄ポリ塩化ビニルは焼却されるが, 焼却時に人間の生命活動に有害な化合物を発生させることは周知の事実である. 廃棄ポリ塩化ビニルの再利用に関し多くの研究がなされてきた. 異なるメーカーにより製造されたフィルムを温室用テントとして3年間使い, それらの劣化を調べた. 重合度は10から20%低下し, 破断強度はすべてのフィルムにおいて約10%低下した. 光透過率は, フィルムの表面処理に依存し, 異なる変化を示した. カルボニル基と二重結合とが生成していることが13CNMRスペクトルで検出された. 再利用のために, 再生フィルムにパラトルエンスルホニルヒドラジドを加え, カルボニル基と二重結合を還元し, 物性を調べた.