1988 年 45 巻 4 号 p. 325-331
生分解性を有するポリビニル型高分子電解質の分子設計としてポリ (ビニルオキシ酢酸ナトリウム) (PVOA) を合成し, その生分解性について検討を行った. PVOAはペンダントに存在するオキシ酢酸基が水解反応のような一般的な微生物反応により容易に生分解性のポリビニルアルコールに変換されることが予想される. 本報において, PVOAは活性汚泥や土壌などにより生分解されることが見いだされ, 細菌としてBacillus cerrus LC, Agrobacterium sp. SC, Cellulomonas sp. Y1C及びY2C, Aeromonas sp. WC, Pseudomonas sp. T10, 及び酵母菌Trichasporon cutrsneum RCなどがPVOAのポリマー部分を分解する菌株として単離された. さらに, ビニルオキシ酢酸とのコポリマー化により生分解性を付与されることが確かめられたことより, ビニルオキシ酢酸単位を生分解部分として用いることが可能であることが見いだされた.