高分子論文集
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カルボキシメチルセルロースと部分アニオン化ポリアクリルアミドの電離挙動に及ぼす荷電基密度と温度の影響
神林 信太郎新井 孝昭
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1991 年 48 巻 2 号 p. 67-73

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抄録

荷電基密度の違うカルボキシメチルセルロース (CMC-H) と, 部分アニオン化させたポリアクリルアミド (PAAm-H) を種々の温度でpH滴定を行った. 見掛けの電離定数 (Kapp), 電離のための静電自由エネルギー変化 (ΔGiel) などを求め, 荷電基密度と温度が電離に及ぼす影響を定量的に検討した. CMC-H及び低荷電基密度のPAAm-H系は, 温度の上昇でpKappが大きな値を示した。荷電基密度とΔGielの間には, 比例関係が存在した. 温度の上昇に対してCMC-Hでは, ΔGielが単純に増大した。しかし, PAAm-Hでは荷電基密度が高い系でΔGielは温度の上昇で減少し, 荷電基密度の最も低い系では他の系の1/10の小さな値で一定値を示した. このような温度とΔGielの関係は, 溶媒の誘電率の温度依存性と, 分子鎖の屈曲性の違いを強く反映していることが明らかになった.

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