高分子論文集
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一価銅担持ポリメチルメタクリレートとアスコルビン酸を触媒とするアリルクロリドの水酸化反応
松原 凱男上澤 俊治森澤 誠吉原 正邦前嶋 俊壽
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1992 年 49 巻 2 号 p. 155-160

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抄録

ポリメチルメタクリレート (PMMA) を担体として, 一価銅イオンを担持させ, このものとアスコルビン酸混合系を不均一系触媒として, pH 4.0硫酸水溶液とアセトンの混合溶液中, アルゴン雰囲気下, 1-クロロ-2-プロペン, 1-クロロ-2-ブテン, シンナミルクロリドなどの塩化アリル類の水酸化反応を検討した結果, 一価銅とアスコルビン酸の存在で活性を示し, 特に高分子担体を用いた方が用いないブランク系よりもターンオーバーで最大約50倍の高い活性を示した. 一方, 反応溶媒に酢酸緩衝液を用いるとアセトキシル化が水酸化と同様な活性で進行した. そこで, この高分子担持体を用いる反応系の様式解明と応用を目的として, 水酸化反応に及ぼす, 基質, 溶媒, 及び配位子の変化の効果, 及び塩化ナトリウムの添加効果について検討を行った. その結果, 一価銅担持PMMAとアスコルビン酸を触媒とするアリルクロリドの水酸化反応は, 恐らく, PMMA担体表面の疎水的なミクロ環境による反応基質の濃度増大効果と推測されるとともに, 反応中間にπ-アリル銅クロリド錯体を経由する触媒活性を示し, 高分子担体の存在しない系に比べて極めて高い活性を示した. また, 配位子の違いにより, 高分子の配位の特異性と活性点における立体因子による位置特異性効果を示した.

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© 社団法人 高分子学会
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