1992 年 49 巻 2 号 p. 97-104
ポリプロピレン (PP), 無水マレイン酸 (MAH), 及びパーオキサイドからなる混合物をスクリュー押出機により溶融混練して得られた変性PPには未反応MAHが多量に存在し, 極性材料との接着性を阻害する. 加熱処理により未反応MAHを除去する方法において, エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物 (EVOH) との接着性に及ぼすベースPPの種類, エチレン-ブテン-1ランダム共重合体 (EBR) 混合量, MAH添加量, 及びパーオキサイド添加量の影響について検討した. (1) EBR混合量を増加するとMAHのグラフト率が増加し, EVOHとの接着性が向上する. (2) MAH添加量に対するパーオキサイド添加量が少な過ぎても多過ぎても接着強度が低く, 最適な添加量比が存在する. (3) 加熱処理により未反応MAHを除去減少すると接着性が向上する. 加熱処理は未反応MAHを除去する以外に, 接着性に好影響を与えるその他の効果を有する.