1992 年 49 巻 5 号 p. 401-405
組成比の異なるアルゴンー酸素混合ガスでグロー放電処理したポリエチレンテレフタレート (PET) 布に, アクリル酸を気相にてグラフト重合した. グラフト量は供給ガス中の酸素濃度の増加ととも単調に減少したが, 酸素100%でもグラフト重合は進行した. グラフト重合によって消費された重合活性種量とグラフト量との間には相関関係があり, この両者から計算したグラフト鎖の分子量は混合気体の組成に無関係に約15000であった. 一方, グロー放電処理したPET布に, モノマーガスー酸素混合気体を導入させ, 遊離ラジカル法によるグラフト重合を行ったところ, モノマーガス中の酸素濃度の増加とともにグラフト量は急激に減少し, 酸素濃度が50%以上ではほとんどゼ口になった. グラフト重合前後の重合活性種量とグラフト量との関係から算出したグラフト鎖の分子量は, この場合も酸素濃度によらずほぼ一定であった. 表面グラフト重合を行ったPET布は, グラフト量が2μg/cm2以上では, 綿布に近い水濡れ性を示した.