高分子論文集
Online ISSN : 1881-5685
Print ISSN : 0386-2186
ISSN-L : 0386-2186
高分子電解質複合体形成反応の熱力学的パラメーターに及ぼすイオン強度の影響
神林 信太郎新井 孝昭
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 51 巻 5 号 p. 323-328

詳細
抄録

ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド (PDDACl) とメチルグリコールキトサン (MGCh) をポリカチオンとして用い, 部分アニオン化ポリアクリルアミド (PAAm-H) との間の高分子電解質複合体 (PEC) 形成反応の熱力学的パラメーターを求めた. 各系ともPEC形成反応に伴って大きな負の自由エネルギー (ΔG°) の獲得が見られたが, イオン強度 (I) の増加に伴いΔG°はプラスに大きな値を示した. MGCh系では, エントロピー主導型のPEC形成反応を行い, Iが高い系ほどその傾向が強くなることがわかった. PDDACl系のIが低い領域では, エンタルピーとエントロピー的効果が同程度ΔG°に寄与するのに対して, Iが高い領域ではエントロピー主導型のPEC形成反応を行うことが明らかになった.

著者関連情報
© 社団法人 高分子学会
前の記事 次の記事
feedback
Top