1994 年 51 巻 7 号 p. 466-471
セルロース/ジメチルアセトアミドー塩化リチウム溶液を非溶剤中に凝固させて得られるセルロースのゲル中に, N-ビニルピロリドン (VP) モノマーと架橋剤エチレングリコールジメタクリレートを含浸させ, 紫外線照射下で重合反応を行うことにより, セルロース/ポリ (N-ビニルピロリドン) (CELL/PVP) コンポジットを作製した. 含浸モノマー量を変化させて種々の組成の試料を調製し, DSCおよび動的粘弾性の測定から転移挙動と相構造の組成依存性を考察した. 特にPVP-rich組成 (CELL<15wt%) では, セルローズゲルのネットワーク構造が容易に固定化され, IPN型コンポジットが形成される. ただし, そのガラス転移温度がPVPホモポリマーのそれよりむしろ低下するという特異な挙動が観察され, セルロースの水酸基とVPのカルボニル基間に介在する相互作用の及ぼす効果について検討を加えた.