抄録
レドックス活性基を有する非イオン性の界面活性剤であるα-ferrocenylundecyl-ω-hydroxy-oligo (ethylene oxide) は, ポリ (エチレンオキシド) 部分の分子量が600あまりしかないにもかかわらず, ミセル形成状態においてポリアクリル酸とコンプレックス形成することがわかった. pH測定から, 水素結合性コンプレックス形成率 (θ) は, ポリアクリル酸の濃度に関係なく0.8と高い値を示した. サイクリックボルタンメトリーの結果より, このような高いコンプレックス形性能は, 水素結合以外に疎水性相互作用が大きく関与していることがわかった. α-ferrocenylundecyl-ω-hydroxy-oligo (ethylene oxide) は, ミセル状態でポリアクリル酸とコンプレックスを形成していると考えられるため, 水素結合性相互作用と疎水性相互作用が協奏的に働くことにより, 高いコンプレックス形成能を示し, また, そのコンプレックス形成が電極反応にも反映された.