高分子論文集
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ポルフィリンを層状に内包するデンドリティックポリリシン
丸尾 直樹西野 憲和
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1997 年 54 巻 10 号 p. 731-737

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抄録

デンドリティックポリリシン (DPK) の内部に多数のポルフィリンを層状に配置することは, 機能性原子団の集積の方法として興味深い. そこでDPKの合成過程で, 側鎖にポルフィリンを担持したリシンを用い, 3, 4, または5世代目にポルフィリンを導入した. DPKは全体として球状構造を有し, ポルフィリンの配向はランダムであると考えられた. しかし, CDスペクトルによってポルフィリンの配向状態を調べたところ, ジメチルホルムアミド (DMF) 溶液のトルエン希釈に伴って, トルエン含量が50%以上でSoret帯に励起子分裂型CDが認められた. 分裂強度はトルエン含量が増すほど大きくなり, ポルフィリン環1個当たり1.6×106deg・cmcm2・dmol-1に達した. このようなポルフィリンの配向化現象は, ペプチド鎖に対する良溶媒 (DMF) とポルフィリンに対する良溶媒 (トルエン) との関係でDPKが圧縮されることによって生じたと考えられる.

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