高分子論文集
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メソゲン基を骨格とするエポキシ樹脂硬化物の力学物性に及ぼすフェノール系硬化剤の影響
越智 光一吉中 真司清水 義弘
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1997 年 54 巻 4 号 p. 217-223

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抄録

代表的なメソゲン基の一つであるビフェニルエーテルを骨格とするエポキシ樹脂が, 置換基を導入した種々のカテコールノボラック類で硬化され, その硬化物の力学的あるいは熱的性質に対する硬化剤の置換基の構造や水酸基濃度の影響が検討された. その結果, ビフェノール型エポキシ樹脂を置換基を持たないあるいはメチル基のような小さな置換基を持つカテコールノボラックで硬化した系では硬化物のガラス転移がほとんど消失し, その硬化物においてネマチック液晶と類似の複屈折による光学模様が観察された. これに対して, フェニル基のような大きな置換基を持つカテコールノボラックで硬化した系では, 明瞭なガラス転移が観察され, 複屈折による光学模様は観察されなかった. これらの結果は, メソゲン基を骨格とするエポキシ樹脂をガデコールノボラックのように水酸基濃度の高い硬化剤で硬化した系 (言い換えれば系内のメソゲン基濃度が高い系) では, 網目中でメソゲン基の配向が起こり網目鎖の運動が抑制されるが, これに大きな置換基を導入した系ではメソゲン基の配列性が乱され, 網目鎖の運動の抑制が弱められるものと考えられる.

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