高分子論文集
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静電的相互作用による自己組織化と共有結合固定を利用した高分子トポロジーの効率的構築
尾池 秀章
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2000 年 57 巻 8 号 p. 475-483

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抄録
非共有結合性高分子集合体を高分子合成の中間体とする反応システムが, 高分子トポロジーの精密かつ幅広い設計と, 効率的構築の新手法となりうることについて述べた. 末端に環状アンモニウム塩を有する反応性高分子 (テレケリクス) は, カップリング試薬であるカルボン酸対アニオンとの静電的相互作用を介して集合体を形成し, 続いてその求核攻撃による環状アンモニウム塩の定量的な開環反応を経て共有結合化される. 対アニオンは過不足なく導入されるため, 試薬中の官能基数の組合せによって, 種々の構造明確な分岐および網目高分子が合成できた. 5員環アンモニウム (ピロリジニウム) 塩を用いた場合, 中間体の高分子集合体は室温で安定に単離でき, 続く適度な加熱処理で共有結合固定できることを見いだした. また, 中間体の単離により, 構成単位の組み替えによる集合体の再構築が可能となり, 鎖長の異なる2種類の枝鎖がランダムに配列した櫛型高分子が合成できた.
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© 社団法人 高分子学会
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