高分子論文集
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ナノ秒光応答を示す高分子アゾベンゼン液晶フィルム
足立 要人宍戸 厚堤 治池田 富樹
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2002 年 59 巻 12 号 p. 767-771

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抄録

ピコ秒レーザーパルスを励起光源として, 高分子アゾベンゼン液晶薄膜の液晶相-等方相相転移 (光相転移) に要する光応答について検討を行った. 時間分解測定の結果, パルス照射直後アゾベンゼン液晶は液晶状態における複屈折を瞬時に消失し, 約200nsで等方相へと相転移することが明らかとなった. これは尖頭出力の大きなレーザーパルスを用いることで, 液晶性を発現しないアゾベンゼンシス体を効率よく生成できることに基づく. またこの高分子アゾベンゼン液晶はレーザーパワー, 温度によらずナノ秒オーダーの光応答を示すことも明らかとなった. 高分子液晶を用いたナノ秒光応答は本系が初めてであり, 高分子アゾベンゼン液晶をフォトニクス材料へ用いる有用性を大いに示す結果である.

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© 社団法人 高分子学会
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