2002 年 59 巻 4 号 p. 199-211
本報は遷移鋸錯体触媒を用いたリビングラジカル重合の実例および重合系設計の最近の展開に関する綴である. 開始剤である有機ハロゲン化合物を, 遷移金属錯体触媒と組み合わせることにより, ビニルモノマーの重合が進行し, 分子量の規制された, 分子量分布の狭いポリマーが得られる. この重合は, 生長dormant末端の遷移金属触媒による可逆的活性化反応に基づいており, 配位子や中心鋸を選ぶことにより種々の単量体のリビングラジカル重合が可能であることが明らかとなった. さらに, 重合機構や水中におけるリビングラジカル重合についても概説した.