高分子論文集
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ポリイソブチレンマクロモノマーを含有したコアシェル構造によるエポキシ樹脂の改質
高嶋 務
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2003 年 60 巻 11 号 p. 609-615

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抄録
エポキシ硬化樹脂の熱応力によるクラックの防止には弾性率の低減が有効である. 本報では新規構造のエポキシ化ポリイソブチレンによる改質効果を報告する. 検討はビスAエポキシ/酸無水物硬化剤, o-クレゾールノボラックエポキシ/フェノール硬化剤の2種類の系で行い, 樹脂物性とモルホロジーを調べた. また, 同一条件における分子量の違い, エポキシ基の導入効果, あるいは既存改質材との相対比較を行った. その結果, 数平均分子量 (以下, Mnと略記する) 1300のエポキシ化ポリイソブチレンの添加によって, 耐熱性の維持, 弾性率の低減, 耐クラック性の向上, および硬化収縮の抑制を確認した. これらの物性は, 硬化樹脂内に形成したコアシェル微粒子によって引き出されたと考えられた. さらには, 形成粒子の構造解析から, エポキシ化ポリイソブチレンがコア部とシェル部の形成に関与することが明らかになり, この結果を基にした生成機構を提案した.
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© 社団法人 高分子学会
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