ヒアルロン酸 (HA) は肝臓類洞内皮細胞 (LSECs) に特異的に取り込まれることが知られている. そこで, ポリカチオンであるポリリジン (PLL) の側鎖にHAを導入したグラフト共重合体 (PLL-g-HA) を合成し, LSECs特異的遺伝子キャリヤーとして評価した. PLL-g-HAとDNAとの複合体形成能を評価したところ, PLL部位のカチオンとDNAのアニオンとでほぼ1: 1で複合体を形成した. 32P標識したプラスミドDNAとの複合体をラット尾静脈より投与し, その体内動態を評価した結果, 90%の放射線活性が肝臓で得られた. 肝臓内分布を調べるためFITCラベルしたオリゴDNAとの複合体を同様にラット尾静脈より投与し, 肝臓の切片を作製し観察した. PLL-g-HA/DNA複合体として投与した時, 主に肝臓類洞内皮に沿って蛍光ラベルDNAが観察された.