高分子論文集
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ポリプロピレン射出成形品の流動方向における内部構造と力学特性の変化
邱 建輝
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2005 年 62 巻 1 号 p. 50-54

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抄録

本研究では射出成形したポリプロピレン (PP) の流れ方向における内部構造および引張力学特性の変化について調べた. その結果をまとめると, 流動距離の増加につれて, (1) 試料の厚さと幅が減少し, 断面積が小さくなる. (2) スキン, 中間およびコア層の硬さが低下し, ゲートの遠い側の硬さは各層とも最も低い. (3) 結晶化度および分子配向度が低下する. (4) コア層に二次流動層の形成認められ, 流れ方向に向かって, その区域における結晶が大きくなり, 分子配向度では次第に低下する. (5) 上記の内部構造などの変化により試料の引張強度が低下し, 延性特性が上昇する. 以上の結果により, 流れ方向における射出成形した試料の内部構造の変化は材料の力学特性に強い影響を与えることがわかった. 細長い射出成形部品では流動距離が長いため, 特に注意する必要がある.

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