抄録
以上著者等は茨城縣一農村におけるワイル氏病について, 著者等の経驗した例の患者を対象として, その発生状況, 協床的事項について檢討考察した。以下簡単に本報告の要旨を列記する。
1) 昭和12年より同24年に至る13年間に本橋病院を訪れた薪患数は約3万人ありそのうち28例がワイル氏病患者であつた。すなわち約0.1%に本病患者の発生を見た。そしてこの28例について調査檢討した成績について報告した。
2) 本病の発生には特定の地域の問題があり, ここを仕事場とする入に発生し易いめ, 発生者は2例の例外を除いては農夫と漁夫に限られた。
3) 感染経路はすべて創傷面より起ると考えられた。
4) 著者の28例について症歌と診断についての檢討を試みた。
5) 血清療法の効果は著しいが, ペニシリンの発見により治療血清が部座に入手できない場合に9も早期治療が行いうる。
6) 早期治療が行き届けば死亡率は0となる。
以上の本報告を終るにのぞみ, 終始御懇篤な御指導と御校閲をいただいた所長宮本先生ならびに御後援御指導をいただいた霞ケ浦分院長大淵先生に心から感謝いたします。