口腔病学会雑誌
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口腔内より分離される耐酸性菌の酸素抵抗性に関する分類学的研究
片山 博
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1957 年 24 巻 1 号 p. 60-71

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抄録

(1) 成人38名の唾液から乳酸菌好気性菌株24株, 嫌気性菌株29株, 計53株を得た。主として糖分解能に基き, 加えるに産生した乳酸の旋光性並びに生物学的性状検査を参考として全菌株の同定を行つた。
(2) 好気性菌株中L.acidophilus 2株, L.brevis 1株, L.Plantarum 6株, L.fermenti 1株, L.delbrueckii 1株, L.casei 5株, Morrisの1型4株2型2株, 3型1株, 4型1株で嫌気性菌株中L.delbrueckii 1株, L.aclophilus 2株, L.brevis 1株, L.buchneri 1株L.plantarum 5株, L.fermenti 4株, L.casei 1株, Morrisの1型5株, 2型4株, 3型2株4型3株であつた。
(3) L.caseiの大部分は好気性株に属し, L.fermentiの大部分は嫌気性株に属していた。この事から菌種間に酸素に対する抵抗性の差のある事が推定された。
(4) 両群ともに最も多く分離されたのは, L.Plantarumであつた。L.acidophilus, L.Plantarum, 及びMorrisの1, 2型は, ほゞ同数であつた。この事から同一菌種の中にも酸素張力に対する態度を異にする菌株のあることを知つた。
(5) rhamnose分解株はhomofermentative typeにのみ認められ, heterofermentative typeに認められなかつた。
(6) 口腔内の全Lactobacillus菌種を数えることを目的とするならばL-countを行ふ際には嫌気的培養とすべきであると考えられた。

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