口腔病学会雑誌
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カンジダ免疫動物に関する研究
―リンパ球幼若化反応, 凝集反応および皮内反応について―
草間 幹夫
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1977 年 44 巻 4 号 p. 303-320

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抄録

近年カンジダ症における免疫不全の問題およびアレルギーとしてのカンジダの存在が推測されているため, カンジダ症における宿主の免疫機構を解明する目的でウサギを用いて免疫後の細胞性および液性免疫応答の経時的変化の検索を試みた。方法はウサギをCandida albicans死菌とFreundの完全アジュバントおよびCandida albicans生菌でそれぞれ免疫して, in vitroではカンジダ抗原に対するリンパ球幼若化反応および凝集反応を測定し, またin vivoでカンジダに対する皮内反応を行い, 次のような結果を得た。
1.リンパ球幼若化反応は免疫後第2週前後に高まりのある一過性の反応を示した。測定値は死菌免疫群に高い傾向があった。
2.リンパ球幼若化反応はCandida albicans死菌抗原と蛋白抗原で陽性反応を示し, 多糖体抗原と皮内反応用抗原はほとんど陽性反応を示さなかった。
3.凝集反応は免疫後第3週前後に最高値近くまで上昇し, かなり長期間高値を持続した。測定値は死菌免疫群に高い傾向がみられた。
4.皮内反応は免疫後第2週で著明な陽性反応を示し, 第8週では微弱反応であった。この反応は遅延型の皮膚反応と推測された。
5.リンパ球幼若化反応は免疫後早期に現われ, すみやかに消失する経過を示したのに対し, 凝集反応はリンパ球幼若化反応より遅れて出現し高値を持続する経過を示した。
6.皮内反応はリンパ球幼若化反応の高値とともに著明な陽性反応を示す傾向がみられたが, 生菌免疫群ではリンパ球幼若化反応が低値でも皮内反応は著明な陽性を示した。
7.皮内反応と凝集反応とほ相関しなかった。

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