関東東山病害虫研究会年報
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稲しまはがれ病の流行機構
岸本 良一
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1979 年 1979 巻 26 号 p. 4-7

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抄録
以上, 関東地方中, 北部においてイネしまはがれ病の流行が起りやすい原因について考察した。小麦の作付が多く, ヒメトビウンカの発生量が多いことが基礎にあるが, その上に, 小麦の収穫が九州などにくらべてややおそく, ヒメトビウンカの第1世代虫の生育が完了しやすいこと, 年によって発生量の変動が大きく, 多発生の頻度が高いことがあげられる。一方では, 獲得吸汁による保毒虫率の増加傾向は九州とくらべて有意な差は見られなかったが, 経卵伝染を主とする保毒虫率の自然低下率は低いことが示された。したがって, 一度ヒメトビウンカの多発生によってイネしまはがれ病が流行すると保毒虫率は上昇し, その後, 小発生がつづいても保毒虫率は容易に低下せず, 次の多発生につながってしまうという経過をたどっているものと考えられる。
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© 関東東山病害虫研究会
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