1995 年 1995 巻 42 号 p. 9-14
わが国に分布する主要なネコブセンチュウ4種の同定法を検討した。従来の形態観察あるいは判別寄生法に代わり, エステラーゼおよびリンゴ酸デヒドロゲナーゼのアイソザイムパターン, 並びに, 天敵出芽細菌 Pasteuria penetrans 3系統の宿主特異性を利用した, 正確で簡便な同定法を開発した。北海道を除く日本国内の分布調査の結果, サツマイモネコブセンチュウ, アレナリアネコブセンチュウおよびキタネコブセンチュウは調査したほぼ全域で検出されたが, ジャワネコブセンチュウの検出は沖縄県と関東の一部に限定された。これらの結果から, 従来, わが国でジャワネコブセンチュウとして報告された種の大部分は, アレナリアネコブセンチュウである可能性が高いと判断された。