本研究は,小学校教員に就くことを希望している大学生がどの程度の統計的リテラシーを身に付けているかを調査・分析したものである。教職課程科目「初等科国語」を履修する47人を対象に,小学校国語科教科書所収の,縦軸が波線で省かれて違いが強調されているグラフと意見文を与え,グラフの用い方が適切か否かを判断させるという実践を行った。その結果,グラフの用い方として適切であると判断する学生が30人を占めた。しかし,グラフの用い方として適切でないという学生の意見や,グラフの不備を指摘する意見を共有したところ,グラフの用い方として適切であると最終的に判断した学生は7人に減少した。このことから,現状では統計的リテラシーが学生に広く行き届いているとは言い難く,教師教育の段階で学生に統計的リテラシーを身に付けさせる必要があることが示唆された。