抄録
本研究の目的は,体育授業において,児童の課題の困難度を把握した学習活動を展開することで,技能や意欲が高まることを実証的に検討することであった。実施にあたっては,明確な目標を教師が提示し,フローチェックリストを活用して児童の自身の能力と挑戦のバランスを把握し,課題に向けたペアでの練習,グループでの発表といった授業展開を行った。その結果,学習意欲の高まりと,形成的授業評価内の全ての因子で向上がみられた。学習者の主観的な課題の困難度を可視化し,把握することで意欲を向上させるための有益な手がかりになることが示唆されたといえる。