九州病害虫研究会報
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虫害
黄色高圧ナトリウムランプによる大規模露地圃場のヤガ類被害防止法
高田 裕司柏尾 具俊寺本 健松尾 和敏高木 正見櫻井 玄
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2011 年 57 巻 p. 55-63

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抄録

大規模露地野菜圃場において,高圧ナトリウムランプを圃場周縁部に設置・照明しヤガ類等による被害を低減する方法を検討した。270W 黄色高圧ナトリウムランプ((株)パナソニック電工製)を農作業に支障がないよう1ha (100m × 100m) 露地圃場の周縁部両側に,35m 間隔,高さ5 m,内向き水平方向照明で3 灯ずつ2 か所計6 灯を配置し,その照明圃場における照度分布を調査した。また,黄色灯区のフェロモントラップによるヤガ類誘殺数およびジャガイモ,キャベツ,レタスにおける被害を無灯区と比較した。黄色灯区では全域でヤガ類の被害低減効果に必要な照度2.5lx 以上が確保された。フェロモントラップによるハスモンヨトウ,シロイチモジヨトウ,オオタバコガの黄色灯区での誘殺数は,常に無灯区より少なく推移した。ジャガイモ,キャベツ,レタスにおける黄色灯区のヤガ類の密度や被害は無灯区に比べて少なく,本設置法による黄色灯照明の被害軽減効果が示された。また,黄色灯照明の効果が及ばないコナガ,モンシロチョウに対して,黄色灯を用いた防除戦略や併用技術を提案し,その有効性を実証した。

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