2013 年 59 巻 p. 72-76
鹿児島県種子島では「安納イモ」の知名度が高まったことで,青果用サツマイモの栽培が急激に増加してきている。その中で収穫した塊根の表皮に原因不明の細い線状の被害が確認されたため,2010~2012年に実態調査および再現試験を行った。島内のサツマイモほ場では葉を筋状に加害する小型のトビハムシ類成虫が多数発生しており,これはサツマイモトビハムシと同定された。そこで,島内ほ場から採集した成虫を人工的にサツマイモ株に放飼したところ,畦内には多数の幼虫が生育しており,塊根への加害も確認された。さらに,収穫物を調査したところ塊根表皮に現地と同様の被害が認められた。以上のことから,種子島のサツマイモ青果における表皮異常の主因は,本種幼虫の食害によるものと判明した。また,被害は塊根の外側から食害されたタイプ,表皮内部を潜孔食害されたタイプがあることが確認された。加えて,細根に頭部を貫入させている幼虫も観察され,塊根表皮の小孔被害の関与も推察された。