抄録
1.稲および雑草の葉鞘または葉脈内に産付され外部と遮断保護されているウンカ,ヨコバイ卵に対する田面水施薬の殺卵効果を明らかにするため実験を行ない若干の知見を得た。
2.取り扱った殺虫剤のうち殺卵効果が認められた薬剤は,ツマグロヨコバイ卵に対してはS-12927A(成分;カーバノレートおよびMEP),MIPC,MPMC,NAC,PHC,トビイロウンカ卵に対してはPHC,MIPC,H-82,MPMC,セジロウンカ卵にはNAC,PHC,MIPC,ヒメトビウンカ卵にはMIPCであった。
3.有効であった以上の殺虫剤はいずれもカーバメート系で占められ有機燐剤,塩素剤では弱い殺卵性を示すものもあったが大多数は効果が認められなかった。
4.このうち強力な殺卵性を示す数種薬剤はニカメイチュウ,ウンカなどの防除に慣用される量の範囲内においてかなり顕著な殺卵力があり,ウンカ,ヨコバイ類およびウィルス病の防除上重要な意義を持つものと考えられる。