九州病害虫研究会報
Online ISSN : 1884-0035
Print ISSN : 0385-6410
ISSN-L : 0385-6410
粒剤の土面施用による秋期トビイロウンカの防除効果
豊田 久蔵
著者情報
ジャーナル フリー

1970 年 16 巻 p. 17-24

詳細
抄録
秋期のイネうっぺい後におけるトビイロウンカの効果的防除法として粒剤土面施用の効果を試験した結果,粒剤の種類によってはすぐれた防除効果を示すことが知られた。
有効な薬剤はPHC,MIPC,MPMC,およびダイアジノン粒剤で,やや劣るが一応実用性のあると思われたものにBPMC,MTMC,エチルチオメトンがあった。これらは施薬量3kgでも有効で,かつ残効も7日程度を示すものが多く有効な防除法と思われた。
この土面施用法は水中施薬と異なって速効的となり,その効果発現は散布剤に近くなる。この原因として薬剤の作用機作の面からは,ガス作用と接触作用が相補なって効果を高めていること,トビイロウンカの生態的特性として生息場所が水,地面に近いこと,また自然環境の面からはイネのうっ閉度が大きな影響を与えていることなどがあげられよう。
また土面の乾きと粒剤施用の効果を検討した結果,土面が黒く湿っている程度であればダイアジノン粒剤がもっとも有効に作用し,カーバメート剤は湿潤程度の場合に最も有効で,黒乾程度にあっても有効であることが知られた。
著者関連情報
© 九州病害虫研究会
前の記事 次の記事
feedback
Top