九州病害虫研究会報
Online ISSN : 1884-0035
Print ISSN : 0385-6410
ISSN-L : 0385-6410
川野夏橙園における昆虫群集の推移
清田 洋次満田 実
著者情報
ジャーナル フリー

1976 年 22 巻 p. 75-78

詳細
抄録

1. 1971~1975年の5年間薬剤散布を中止した川野夏橙7年生樹園で,昆虫群集の推移と変遷を調査し,あわせて早生温州園との異同を検討した。
2. 樹冠内に生息する昆虫が複雑な昆虫群集を構成するのは,5月の開花から7月下旬,9月下旬から11月中旬の期間であった。8月に単純な昆虫群集を構成するのは早生温州と同様であった。他の期間に単純な群集構成を示す場合は定着性害虫とアリ類の相互関係が大きく関与していた。
3. 樹冠内に生息する昆虫群集の形態は,5月の開花現象のための不安定な昆虫群集と,6月中旬から8月中旬までの昆虫群集,9月から11月中旬までの昆虫群集の3時期に大別でき,早生温州園と同様であった。
4. 地上歩行性昆虫類は5月上旬より10月上旬まで群集の構成,形態とも類似しており,樹冠内に生息する昆虫群集に比べ安定した群集である。捕獲された39種のうち,柑橘害虫の個体数に直接関係すると推定される昆虫はオオオサムシ,ヒメオサムシ,マイマイカブリ,ビロウドサシガメ,トビイロサシガメなどであった。

著者関連情報
© 九州病害虫研究会
前の記事 次の記事
feedback
Top