1987 年 33 巻 p. 195-198
1982年にチュウゴクオナガコバチを放飼した熊本県大津町のクリ園で,1984年と1985年に剪定枝処理法を異にする2つの実験区を設けて,天敵の効果のちがいを調べた。その結果,剪定枝放置区と除去区の間には,1年目は差が見られなかったが,2年目にはクリマモリオナガコバチとチュウゴクオナガコバチの寄生率,寄生蜂雌成虫による寄主体液摂取率,ゴール当たり生存寄主数において顕著な差が認められ,剪定枝放置が有益であることが実証された。将来上記の天敵を有効に利用するためには,剪定枝を各樹地際に集めて天敵が羽化するまで放置すべきであることを示唆した。