九州病害虫研究会報
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ユウガオつる割病菌によるカボチャ台接ぎ木キュウリと自根カボチャの萎ちょう発現の差異
野村 良邦
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1989 年 35 巻 p. 30-33

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抄録

ユウガオつる割病菌のカボチャ台接ぎ木キュウリと自根カボチャに対する萎ちょう発現の差異を検討した。
1) クロダネカボチャ台接ぎ木キュウリは,自根のクロダネカボチャよりも早く発病し,台木カボチャの子葉がまだ無発病の時期に穂木のキュウリは青枯れ状態になり,急性萎ちょうを呈した。
2) クロダネカボチャ台接ぎ木キュウリの早期発病株では,胚軸部の維管束は,カボチャ,キュウリ及びその接合部とも特に変化はみられず,病原菌も分離されず,この萎ちょうには本病原菌の毒素あるいは作物間の親和性の不和が関与しているものと推察された。なお,台木カボチャの子葉が発病した後に穂木のキュウリが発病を示す株では,カボチャの胚軸部維管束だけが褐変し,そこから病原菌が分離された。
3) 自根のクロダネカボチャは,子葉,第1本葉の黄化,萎ちょうなどの発病初期には,胚軸部維管束が褐変し,病原菌が高率に分離された。また,上位葉に病徴が進展して行くとほぼ発病葉の葉位の節付近まで病原菌が分離された。
4) 種間雑種カボチャ台接ぎ木キュウリ,自根の雑種カボチャ及び自根のキュウリでは発病せず,胚軸部維管束の褐変も認められなかった。

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