抄録
施肥・防除体系が異なる圃場でのコブノメイガの発生生態と被害および収量との関係について検討した。施肥および防除体系の違いにより稲の生育経過の相違がみられた。8月のコブノメイガ成虫の日中生息密度は少肥区に比べ慣行施肥区で高く,結果的に幼虫による被害も大きかった。稲の出穂前上位3葉のコブノメイガ幼虫による被害が玄米収量に及ぼす影響は,施肥体系およびウンカ防除の有無による稲の生育経過の相違によって変動した。これらのことから本種の加害による被害葉率と収量との相関は,稲の生長・子実生産過程を数量的にあつかったモデルで解析する必要性が示唆された。