九州病害虫研究会報
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ナシ輪紋病の新梢及び果実への感染時期
古賀 敬一大久保 宣雄
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1994 年 40 巻 p. 70-74

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抄録

西南暖地におけるナシ輪紋病の柄胞子飛散状況と新梢及び果実への感染時期について調査した。
1. 降雨時間別柄胞子飛散消長は降雨開始1~3時間をピークに飛散量が減少することから,雨量よりも降雨開始から短時間に飛散してしまい,その後降雨があっても飛散しなかった。
2. 一定降雨下での罹病枝の濡れぐあいによる時間別柄胞子飛散消長は枝がまだ乾ききっていない時に再度降雨にあうと降雨直後から短時間で多く飛散するものの,総飛散量は乾燥している時より少なかった。
3. 新梢への主な感染時期は6月上旬から7月上旬にかけて柄胞子の飛散が多い時期と病原菌侵入に対して感受性の高い新梢硬化前の時期が重なった時に感染した。また棚ずれや風傷等を生じると,無傷の場合より早く発病した。品種別では二十世紀より幸水の方がやや罹病性であった。
4.越冬後2年生枝での発病は新梢との境目である節や短果枝及び発育枝の基部,新しい皮目に発生した。いぼ病斑の発生は幸水は新梢時の6月感染より7月以降の感染の方が多いものの,二十世紀は新梢時の6月感染が多く,その他の感染時期は少なかった。
5.果実への感染時期は柄胞子の飛散が多い5月中旬から7月上旬であり,果面のコルク化が形成された7月中旬以降の感染による発病は少なかった。しかし果実成熟に伴い,台風やシンクイムシ等による傷から感染すると急激に発病した。品種別では二十世紀より幸水の方が罹病性であった。
6.果実発病から裂果までの経過は幸水の病斑の方が発病38目以降急速に拡大し,二十世紀より早く裂果したので,幸水の方が二十世紀より罹病性であった。

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