2000 年 46 巻 p. 15-17
わが国で分離されたオオムギ斑葉モザイクウイルスの1分離株(BSMV-J)の外被タンパク質(CP)の分子量は電気泳動によって約22Kと推定された。RT-PCRにより増幅したCP遺伝子の塩基配列を決定してBSMVのタイプ分離株と比較したところ,きわめて高い相同性を示した。アルミニウム(Al)に感受性を示すオオムギ品種Kearneyと抵抗性品種Daytonに,BSMV-Jを接種して通常の土壌条件下で育成した結果,両品種ともに同様な病徴を示し,ウイルス濃度にも大きな差はみとめられなかった。水耕栽培によって育成時のpHを一定にして検討した結果,Alが不活性なpH6ではウイルス接種によって特徴的な条斑えそが両品種に現れた。Alが活性を示すpH4ではウイルス接種の有無に関係なく,両品種とも全身的なえそを生じた。いずれの条件下でもRT-PCRによってウイルスの増殖は確認された。AIに対する感受性を異にする両品種でのBSMVに対する反応には,明らかな差はないと考えられた。