九州病害虫研究会報
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26.水稲早期栽培におけるニカメイチユウ防除時期試験
是石 鞏田村 多利上村 道雄
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1959 年 5 巻 p. 35-37

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抄録

水稲早期栽培におけるニカメイチュウ第1化期の防除適期について,本試験の結果より推論すれば,おおむね次のようになる.
1. 前期,最盛期,後期の3回撒布は,被害茎率,残存虫数も最も低く収量は最も高い。すべての意味において最も高い防除効果が期待される.
2. 2回撒布の場合は,最盛期,後期の2回撒布が最も良く,前期,後期の2回撒布は被害茎率で最盛期,後期とほぼ等しい結果であつたが,残存生虫数では可成り上廻り収量もやや劣った.これに比して前期,最盛期の2回撒布は最も悪く,後期1回撒布より劣つて,殆んど2回撒布の意味がないものと思われる。
3. 1回の撒布ですませる場合は,3回撒布程の防除効果は期待できないが,後期の1回撒布は,撒布の適期を失した2回撒布よりも防除効果が期待されるようである.しかしながら前期の1回撒布は被害茎率,残存生虫数高く,収量も最も低いので,防除時期として適切でなく,最盛日1回撒布もやや好成績を示したが好適な防除法としては推奨できない。
4. 総じてニカメイチュウ第1化期の発蛾最盛日を中心に,前期,後期の3回撒布によつて殆んど完全な防除効果が期待されるが,実用的には最盛日,後期の2回敵布が好適と思われる.
5. 前期の撒布は殆んど意味がなく,仮に1回撒布ですませる場合は後期を選ぶべきである.
6. 撒布液の濃度は,前期と最盛期1,500倍,後期1000倍,撒布量は前期と最盛日180l,後期144lで支障ないものと思われる.

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