九州病害虫研究会報
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33. Malathion, Parathion 乳剤のツマグロヨコバイに対する殺卵効果に関する調査
一丸 政雄山科 裕郎
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1959 年 5 巻 p. 49-50

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抄録

1. 昭和32年6月から7月にわたつてMalathion,Parathionを使つてツマグロヨコバイ卵の産卵直後と孵化前の二つの生育段階に対する殺卵効果を調査した.
2. 細かい調査が抜けたので効力の判断の基準になつた未孵化卵には,A)胚子が充分発育して完全に幼虫を形成しているにもかかわらず,孵化した気配もなく死亡している卵と,B)孵化途中の幼虫が完全に卵殼から脱出できず死亡している卵とを含んでいる.
3. 上記A卵は殺卵作用によつて生じたものと判断し,B卵は残存薬剤によつて初齢幼虫が孵化途中で殺虫されたものとした.
4. この試験ではB卵とわかるものも相当数観察されたが大部分はA,Bいずれの卵とも判断つかなかつた.
しかし,Malathionの場合,産卵直後の撒布区では,未孵化率は低く(無処理と変らず)孵化前の処理区でやや未孵化率が高く,Parathionの場合は両処理区共,未孵化率は余り変らないという結果と両剤の効力の持続期間(Malathionは短く,Parathionは比較的長いという)の関係から類推して,未孵化卵の大部分は孵化途中の初齢幼虫が卵殻から脱出してしまう前に残存薬剤に触れて殺虫され卵殻から脱出途中のまま死亡したものと思われる.
5. とするとこの試験では把握できなかつたけれど,完全に孵化し葉鞘外に脱出しながらも薬剤に触れて死亡転落した虫(孵化数に含まれている)も相当数あると思われる(C卵としよう).
6. この調査の結果では,A,B両卵を合わせても未孵化率は低く実際面がら考えると問題にならないようで,あるが,上記C卵を含めた場合に,未孵化率をどの程度に押え得るか確めたい.

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