九州神経精神医学
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巻頭言
BPSDと抑肝散
林 要人石田 康
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2012 年 58 巻 3_4 号 p. 133-141

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抄録

 抑肝散は16世紀に子供のイライラや落ち着きのなさ,焦燥に対する薬物療法として中国で発達した。抑肝散は近年,日本において高齢者の情緒障害に応用されて以来,特に認知症の行動および心理症状(BPSD)に対する治療薬の一つとなっている。これまでの臨床試験の結果からは抑肝散はアルツハイマー型認知症,レビー小体型認知症,血管性認知症,前頭側頭型認知症,認知症を伴うパーキンソン病のBPSDに対して効果があるとされる。基礎研究も急速に進みその作用機序が解明されつつある。これまでの臨床試験結果を考慮すると今後,軽度認知障害や高齢者タウオパチー等に応用される可能性がある。

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© 2012 九州精神神経学会
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